先輩からのメッセージ
   

社会人としての存在意義について

大阪ガス(株)
佐々木 一
(平10・経営)


私は平成十(一九九八)年四月に大阪ガスに入社しました。大学生である皆さんも、一~四年後にはどこかの企業(官公庁)に就職し、社会に貢献することになると思います。今回、「社会人としてどうあるべきか?」ということを私の約五年間の社会人経験から感じた点を中心に述べていきたいと思います。

 まず、社会人として本当に必要最低限意識すべき点を述べたいと思います。端的 申し上げて次の三点があると思います。一、時間の使い方 二、報・連・相の徹底(特に報告)三、自己啓発 です。

 一点目の「時間の使い方」ですが、社会人になると「自分の時間がない」とよく耳にしますが、実際はどうでしょうか?。一年間の時間バランスを考えますと仕事(年間二四〇日勤務の一二時間/日)‥三二・九%、睡眠(七時間/日)‥二九・二%、残りの自由時間‥三八・〇%となります。このように数値化すると自由時間が最も多いのが実情です。従って、もし皆さんが社会人になった時に「自分の時間がない」と思うのであれば、まずはご自身のライフスタイルを数値化し、何に時間を取られているのか?、無駄な時間はないか?、を見極め効率的な時間の使い方をする必要があると思います。

 二点目の「報・連・相の徹底」は、仕事をする上で一番重要です。仕事そのものと言ってもよいかと思います。皆さんは、「報告」だけはしっかり出来るよう心掛けて下さい。仕事において、上司への報告不要なものは存在しません。また、上司は、数人~十数人に同じように仕事の委託をしています。そのような状態で、委託した仕事の進捗フォローを上司にさせる部下は、評価されません。上司は、報告なく九〇%の仕事をする部下よりも頻繁に(具体的には一週間に一回以上)報告する六〇%の仕事をする部下のほうを重宝します。理由は、委託した仕事がどうなっているか?と心配する必要がない上に、報告時に部下へアドバイスすることで、上司自身の存在意義が確立されるからです。従って、皆さんも「うっとうしい」と言われるくらい上司に仕事内容を報告することを心掛けて下さい。

 三点目は、自己啓発です。今後、社会に出て行く若い人に要求されるのは、「社内」ではなく「社外」で通用する能力・人脈です。この能力・人脈を高める最も簡単な方法が、「資格取得」だと思います。資格を取得またはその努力をすることで一般的に通用する力を身につけることが出来ますし、志を同じくする人との人脈作りにも役立ちます。

 次に社会人としてのあり方について述べたいと思います。私は、社会人としての存在意義を「公私ともに目標を持って、継続的に実践する」ことと考えています。

 その中で私自身どのようなことを目標にして、実践しているかと申しますと、公の部分では、「周囲から依頼された自業務以外の仕事について、可能な限り行う」ことです。つまり、あらゆる場面で必要とされる人材になることを意識し、実践するよう心がけています。具体的には、「○○のようなデータを収集できないか?」といったことから「どこどこの蛍光灯が切れた」といった雑務まで様々あります。そのような依頼を快く受けることで、自分の視野が広がり、また自分が困ったときに助言を求めたりすることが可能になり、結果的に効率的に自分の仕事を進めることが出来ることを実感しています。但し、ここで注意しなければならないことは、便利屋で終わらないことです(長くとも五年以内には止めて、自分の仕事とそうでないものをきっちりと分けるべきです)。

 私の部分は、文武両道で自己実現を図りたいと考えています。文の具体的な実践は、資格取得です。私は、一時期、休みの日を利用して専門学校に通った経験から申し上げると「行って良かった」というのが本音です。自己啓発になるし、まさに同じような分野でともに頑張っている人との人脈を作ることが出来ます。武の具体的な実践は、スポーツです。私は、仕事も遊びも最後は「体力」という考えをもっています。従って、体力維持には人一倍気を使っており、日頃からバスケットボールをしたり、ハーフマラソンに参加したりしています。スポーツを行うことで、仕事のストレスの発散、運動不足解消など様々なメリットがあると実感していますので、今後も続けていきたいと考えております。

 このように公私共に何かしら目標を持ち、実践することが自己実現であり、社会人生を充実したものにする秘訣だと思います。私自身、上記のようなことを意識し、実践することでそこそこ充実した人生を送れていると満足しています。

 最後に、皆さんに対して社会の先輩として一言言わせていただくとすれば、これからの社会生活は、漫然と働いているという姿勢では必要とされません。自ら、率先垂範して、業務遂行・業務改革を行い、自らの存在意義をアピールしなければなりません。そのことを意識しながら、自己実現・自己成長を心がけていただきたいと思います。

凌霜 357号掲載文(2003年5月)より