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新着情報

2025年1月21日
会誌「凌霜」

凌霜第444号

                       凌霜四四四号目次

表紙絵 昭45営 押 上 重 郎

カット 昭34経 松 村 琭 郎

◆年頭にあたって   大 坪   清

目 次

◆母校通信   松 尾 貴 巳

◆六甲台だより   行澤一人、鈴木 純、清水泰洋、四本健二、村上善道

◆本部事務局だより   一般社団法人凌霜会事務局

 ホームカミングデイの開催/ご芳志寄附者ご芳名とお願い

◆(公財)六甲台後援会だより(79)

凌霜会創立100周年特別企画

 バックナンバー再録(「凌霜」296号・昭和62年1月)

 凌霜の語源「貞松擢秀、金菊凌霜」にめぐりあう   澤 田 修 二

◆学園の窓

 神戸大学とのご縁   安 永 祐 司

 1年間のサバティカルでヨーロッパへ   ヴィエシボフスカ アガタ

 着任の挨拶にかえて   田 頭 拓 己

 国際教育のオンライン化という新たな挑戦   米 沢 竜 也

戦後の卒業アルバムと学内メディアで見る「ここが変わった神戸大学」   住 田 功 一

◆表紙のことば 追憶   押 上 重 郎

◆凌霜ネットワーク

 スケート部創部70周年祝賀会   阿 片 仁 孝

◆凌霜ひろば

 一世を風靡した旧官立神戸高商の当時の教えを再現しよう!   松 熊   忍

◆本と凌霜人『岡田卓也の時代公器の理念が支えた静かなる流通革命』   石 井 淳 蔵

◆六甲台就職相談センターNOW

 就活体験談   浅 田 恭 正

◆学生の活動から

 神戸大学学生震災救援隊の活動に参加して   西 谷 彩 香

 第18回ホームカミングデイでの学生企画を終えて   松 本 暖 生

 2024年度六甲祭を終えて   津 島 風 斗

◆クラス大会 凌霜12回生、経・営・法学部昭59

       経・営・法学平成6年

◆クラス会 しんざん会、さんさん会、イレブン会、むしの会、

      神戸六七会、関東四四会、東京18会、互礼会

◆支部通信 石川、東京、神戸、愛媛県、福岡

◆つどい 藤蔭四の会、幸ゼミ、グリークラブ関西OB会、

     宝生流謡会、東京六甲クラブ囲碁会・神戸KUC囲碁クラブ、

     水霜談話会、大阪凌霜短歌会、東京凌霜俳句会、

     大阪凌霜俳句会、凌霜川柳クラブ、

     神戸大学ニュースネット委員会OB会

◆ゴルフ会 名古屋凌霜ゴルフ会、茨木凌霜会、

      西宮高原ゴルフ倶楽部KUC、廣野如水凌霜KUC会、

      芦屋凌霜KUC会、花屋敷KUC会

◆物故会員

◆国内支部連絡先

◆編集後記   行 澤 一 人

◆投稿規定

年頭にあたって

一般社団法人凌霜会理事長 大 坪   清(昭37経)

(レンゴー㈱代表取締役会長兼CEO)

 凌霜会会員の皆様、新年明けましておめでとうございます。各地で穏やかに、そして健やかに新年を迎えられたことと心からお慶び申しあげます。

 昨年、凌霜会は1924(大正13)年9月の設立から100周年を迎えることができました。諸先輩方が築き上げてこられた凌霜の歴史を守っていくとともに、次代を担う若い凌霜の皆様へ歴史と伝統を引き継いでいけるよう、そして会員各位にとって有益かつ有意義な組織であり続けるよう、次の100年に向けて、会の運営に全力を尽くす所存です。皆様には、引き続きご支援ご鞭撻を賜りますようお願い申しあげます。

 昨年を振り返りますと、元日から能登半島を震源とする地震に見舞われ、その後も、南海トラフ地震臨時情報の発出につながった宮崎県日向灘の地震、鹿児島県に上陸した台風10号、復興に向けて取り組む能登地方に追い打ちをかけるような記録的豪雨など、多くの自然災害が甚大な被害をもたらしました。現在、政府は防災庁の設置に向けた準備を進めていますが、近年頻発している風水害や、近い将来に発生が予想されている南海トラフ地震などに備えて、人命最優先の防災体制を早急に構築していただきたいと思います。

 わが国経済は、1992年以来の高水準となった賃上げの効果や好調なインバウンド需要等により、緩やかな回復が続くことが期待されます。今後は、実質賃金が持続的に上昇し、それにともなって個人消費が伸びていく、という好循環を構築していくことができるかどうかがカギになると考えています。また今年4月には、大阪・関西万博の開催が控えています。この国家プロジェクトが、関西を中心に、より一層わが国の経済を盛り上げていくことを期待しているところです。

 世界に目を向けますと、昨年11月の米国大統領選挙において、共和党のドナルド・トランプ氏が民主党のカマラ・ハリス氏に勝利し、第47代大統領に選出されるという大きな出来事がありました。今後、石破総理大臣とトランプ新大統領の間に、緊密な信頼関係、強固な同盟関係が生まれ、両国関係が一層発展していくことを望んでいます。一方、トランプ新大統領は、アメリカ・ファーストの政策を掲げており、世界経済のデカップリングが進行していくのではないかという懸念を持っています。また、ロシア・ウクライナ戦争、中東情勢に大きな影響を及ぼすことも予想されます。今後、トランプ政権が展開する政策に注視していく必要があります。

 昨年2024年のノーベル物理学賞を受賞したのは、AIの技術の中核である「機械学習」や「ディープ・ラーニング」の基礎を築いたプリンストン大学のジョン・ホップフィールド教授とトロント大学のジェフリー・ヒントン教授でした。ノーベル化学賞では「アルファフォールド」と呼ばれる、たんぱく質の折りたたみ構造を高精度に予測することができるAIシステムを開発したデミス・ハサビス氏とジョン・ジャンパー氏が受賞しました。AI技術の基礎と応用がノーベル賞の対象となったことは、イノベーションにもAIが重要な位置を占めるようになったことを象徴する出来事であったと思います。

 今後、生成AIをはじめ、ビッグデータ、メタバース、アンドロイドといった技術が社会にますます浸透し、経済活動や生活様式の変革が進んでいくものと思われますが、肝心なことはデジタル技術(Cyber)とそれを扱う人間(Physical)とのバランスをいかにとっていくかということであり、その調和のうえに成り立つCPS(Cyber-Physical System)の構築について社会全体で真剣に考えていく必要があります。CPSの観点から技術の本質を見極めなければ、人間本来の創造性を奪ってしまう側面もあるでしょう。Sentiment(感情)、Passion(情熱)、Sympathy(共感)といった人間本来の思考の源泉からもたらされる活力を、引き出すものであることが重要です。

 さて、母校神戸大学は「学理と実際の調和」という建学の理念の下、「真摯・自由・協同」の精神を発揮し、社会で活躍する多くの人間性豊かな人材を創出してきました。これからも時代の変遷に即した変革を推し進めることにより、新たな価値を創造し続けていかれることと期待しています。

 本年1月17日に、阪神・淡路大震災の発生から30年を迎えます。神戸大学はこの震災で学生と教職員合わせて47人の尊い命を失うことになりました。その経験を原点に、被災地の国立大学として、防災・減災や復興にかかわる研究に取り組み、研究成果の発信、地域社会への貢献を進めてこられております。1月11日には「阪神・淡路大震災30年シンポジウム」を開催して、これまでの取り組みや研究成果を発信されると伺っております。30年というのは一つの節目にすぎず、今後も震災の記憶や教訓を風化させることがないよう、次世代へ伝えていかなければなりません。こうした点でも神戸大学は非常に重要な役割を果たされています。

 凌霜会につきましては、昨年迎えた創立100周年を記念する事業として、神戸大学六甲台後援会と連携して、学生が自由に勉学や懇談・交流できる場所として「凌霜ガーデン」の設置や、大学が実施する最先端社会科学研究教育への支援活動を進めてまいります。

 神戸大学には、先人達が築き上げた120年以上におよぶ輝かしい歴史と伝統が結びついて創りあげてきた文化が根付いています。神戸高商の初代校長水島銕也先生の「凌霜雪而香」(霜雪を凌いで香ばし)、人生の試練に耐えて菊のように香り高く、美しかれ、という教えを胸に、困難な時代に立ち向かうとともに、良き伝統はそのままに、たゆみなき変革によって新たな伝統を築いていくことで、これからも大学をサポートしてまいりたいと思います。

 2025年の干支は乙巳(きのとみ)です。「乙」は十干の二番目にあたり、草木がしなやかに伸びて広がっていこうとする状態を表し、「巳」は、脱皮して成長する様子や強い生命力から不老不死の象徴とされ、神聖な生き物としてあがめられてきた蛇を表しています。こうしたことから、2025年は再生や変化を経ながら、柔軟に発展していくことができる年になるのではないかと考えています。

 私たちは現在、令和の時代を生きています。人口増加と高度成長を前提とした仕組みやデフレ社会に最適化した政策のうえに成り立っていた「昭和モデル」「平成モデル」から脱却して、「令和モデル」といえる共助経済社会の実現に向けた取組みを早急に推し進めていく必要があります。本年は「令和モデル」について真剣に考えてみるのに格好の年ではないでしょうか。

 最後になりましたが、凌霜会諸兄姉の皆様には日頃から、会員の増強、寄附金など多岐にわたってご協力いただいておりますが、今後も引き続き、凌霜生としての誇りと絆を繋ぐよりどころとしての当会活動を何とぞご支援賜りますとともに、我々も凌霜会の目的である「会員相互の研鑽と親睦」そして「母校支援」を胸に、共に母校のより一層の発展に向けて努力してまいりたいと存じます。

 本年が皆様にとって素晴らしい年となりますことを心より祈念申しあげ、新年にあたってのご挨拶とさせていただきます。